みゃんのブログ

マイペースB型女子。偏食(肉好き)。マーケティング好き。ビジネスモデルや事業戦略の分析から実践へ。

「技術」だけで飯は食えない「営業」だけでは飯は美味くない

インターネットの登場から25年。

農業、林業水産業、製造業、工業など主に「つくること」で生計を立てていた人を取り巻く環境は一気に激変してしまいました。
職人がどんなに良いものを作っても、売れるかどうかわからないという世の中になり、職人の高齢化、後継者の減少、就業も3次産業、6次産業へとシフトしてきています。

安くて手頃なものばかりが飛ぶように売れたり、話題になって爆発的にヒットしたものさえ、飽きられれば見向きもされず数日後にはセールで半額で売られていたりという状況さえ不思議なことではなくなりました。

 

いかに「売ること」が「作ること」よりも重要か。

この記事を書くきっかけとなったのは、本屋で見つけたある書籍を手にしたことと、私個人の家庭環境からです。

私の家庭環境は少し珍しく、一代で月商1000万の家具屋にした祖父と一面田んぼしかない村で農家をしていた祖父の孫に生まれました。
経営者と農家の家庭環境の差を子供ながらに肌で感じ、両祖父を見て商売人はどういうものか、生産者はどういうものか見てきました。

 

農家の祖父の生活は至って質素でした。
毎日同じ生活を繰り返す単調な日々。早朝に起き、まず犬に餌をやって田んぼや畑の様子を見に行く。トラクターや工具の倉庫を見に行き、準備をする。軽トラックで長い一本道を走り、15分20分かけて役所やホームセンターに足を運ぶ。農作物が収入源である以上、天候や土壌、環境に左右されてしまうある意味残酷な職業です。取れ高や品質で決まります。祖父は辛抱強く、雪降る寒い駅の前で祖母の帰りを何時間も黙って待っている堅気な性格でした。

 

また経営者の祖父は、独裁的ともとれるいわゆるワンマン社長。
見栄と努力と改善。売上を上げるために当時は試行錯誤の毎日を送っていたと思います。従業員と意見対立は日常茶飯事。今でこそ丸くなったものの、小さい頃は孫の私でさえ営業の邪魔をすると怒鳴られたりしていました。
職人気質でとても器用なところがあり、タチの悪いお客さんでもいざという時は身を挺して従業員の前に立つところもありました。
すべては売上。もちろん時代もありますが、同じく結果がすべての中で生きていたのではないかと思います。

 

「つくること」と「売ること」。

私はこのバランスがとても重要なことを身を以って感じています。
売れるものをつくる。
言葉にしてしまえば当たり前のことですが、商品に価値がありその価値を売る。
その商品の本当の価値を見抜くことが求められていくはずです。

”物事を本質から理解し、その本質が最大化される戦略を立てる。”

 そのためには多角的に見ることができる視野、視点が必要です。

 

 

そして、もう一つのきっかけである私が出会った書籍というのは、プログラマで食べていくために必要な要素や知識が書かれたものです。

 

「プログラムは技術だけでは動かない」

タイトルに惹かれ手に取り、最初の冒頭を読んで即購入しました。

「技術力がある人」が実際にプログラマとして活躍できているのでしょうか?

 私が仕事としてプログラミングを頼んだ経験で振り返ってみると、

「頼んだものと違う動きのものが出来上がってきた」
「いつまでたっても出来上がらない」
「安定して動かない」
「仕様変更などの応用が効かない」
ソースコードを他の人が理解できない」

 「技術的な力はあっても、仕事として使い物になるものができてこない」ということはたくさんありました。

仕様書を基にコーディングを行う」場合でも「依頼者からの要求を実現する」つまり「理解力」が重要です。
書類を読んだだけで理解できるものではありませんので、理解できるまで「やりとりする力」も必要です。

 

人とのつながりが技術を生かし、信頼性や保守性を高めるために改良を続ける。

 

職種によりますが、大企業だと完全に分業体制となり自分の仕事だけ責任を持ち、自分の仕事だけとりあえず終わればいいという方が大半かもしれません。
つくればいい。売れればいい。

 

なんか世知辛く感じてしまいます。

 

是非技術を売っているすべての人に読んでいただきたいです。
価値とは何か、に向き合えます。

  

価格破壊でお金を生み出す魅惑の「無料」戦略

「無料」の心理 

最近街に出るとあらゆる場所に「〇〇無料」といった広告を見ます。
少し前までお金を払っていたもの、お金を取られるのは当たり前だと思っていたものが「無料」で手に入る機会が増えました。

この「無料」。

私たちはもう価値のあるものを0円で手に入ると勝手に思い込むようになりました。かつては信じ難かった「無料」にあまり抵抗がなくなっています。

 なぜ「無料」にできるのか?

怪しくて手を出さなかったのになぜ使うようになったのか。
・・・その答えは実に簡単です。

 「無料」にできる理由を知ったからです。

そうです。私たちは知らず知らずのうちにその魔法の「無料」トリックを知っています。

どうやって0円で実現できているのかも。 おそらく私たちはその理由をもう知っているはずなのに、ただ知っているだけで終わってしまっているのではないか?
そう感じました。よく考えると、これはかなり損をしていることに気づいたからです。 

 

 

「無料」をうたう広告

今どんなものが無料で使えるでしょうか?
例えば、スターバックスではほとんどの店舗でWiFiが設置されていて、ネットが無料で利用できます。
そのため私たちはドリンク代だけを払えばそれを利用できます。
あとは、ネットショッピングでの送料無料。もはや当たり前に浸透しています。
送料無料じゃなきゃ商品を購入しないという方も多いのではないでしょうか。
携帯電話やパソコンなんかもそうです。端末を無料で提供する代わりに契約や使用料でお金を取られます。
そしてスマホアプリ、WEBサービスも大抵無料です。
これらは広告収入により運営されていたり、オプションでの課金制になっています。BtoBだと、ECへの出品手数料・固定費の無料化といった具合に。

つまり無料で配布し、違うところでお金を取る

これは、現在支払っているその費用も今後0円になる可能性があるということです。そして商品自体のコストダウン・ダウンサイジング等もあるので、無料化は今後ますます加速していくでしょう。

 

そこで難しいのが何を「無料」にし、どこでお金を生み出すのかですよね。

 

消費者を惹きつける「無料」

賢い会社は通常のお金の流れを逆にする。モノやサービスを無料にしたり、他の会社が料金をとるものに料金を支払ったりする。 

出典:FREE

成功している企業はマネタイズが上手いです。 自分に合った有力な「無料」戦略を見つけることで自社の商品やサービスの価値を何倍にもできます。
例としては、

・期間限定型・・・30日間無料、その後有料のようなタイプ。
・機能制限型・・・基本会員のみ無料、プレミアム会員で有料し、機能拡張するタイプ。
・人数制限型・・・ある人数までは無料、それ以上の利用者は有料のタイプ。
・顧客選別型・・・個人契約は無料、法人契約は有料のタイプ。
などなど。

 

そしてこれらの「無料」戦略は結局のところ、それが0円になったわけではないということです。0円になったと思わせることで買い手に考える時間を与えていないだけなのです。

800円のゴディバのチョコレートと100円の明治の板チョコが売っている場合と、700円のゴディバのチョコレートと無料でもらえる明治の板チョコが並んでいる場合とでは完全に違いますもんね。

・・・え?わかりにくいですか?ま、忘れてください。笑

 

とにかくこういった消費者心理のマーケティングから学べることは非常におもしろいです。

 

収益を他で補完する

 

すべてに応用できるこの原理は、もちろんプラス面だけではありません。 「無料」が故に簡単に飽きられたり捨てられてしまうリスクもあります。

 

しかし、有益な使い方をすればあらゆるプラスをもたらすのではないでしょうか?

モノは考え様とはまさにこのことですよね。

消費者心理は深いです。

 

今回はマネタイズの基本について書いてみました。 

ぜひ明日からの仕事や日常に活かしていただけたら幸いです。

 

ちなみに恋人にあげるプレゼントで考えるのは反則ですので。笑

 

 

 

▼おすすめの「無料」戦略本

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町のお弁当屋さんは進化する!「玉子屋」の華麗なる経営戦略

町でよく見る「お弁当屋さん」。
コンビニにはない、安くてボリュームがあって、なんといっても手作りの優しさがあります。健康面も考慮されてる付け合わせ。カロリーや品質表示などしていなくても、どこか安心感があります。

「真心がこもっている」

そこが長きに渡って愛される弁当屋の魅力だと思います。 

しかしそんなお弁当屋さんですが、「これで採算が取れているのだろうか?」
「利益率が低くて儲かっているのだろうか?」
いくら美味しくても利益が出なければお弁当を作り続けることができないのが現状。

お弁当屋さんで成功を収めている企業は一体どんな戦略なのか?

 

他社には真似できない「玉子屋」の製造・配送システム

玉子屋」は現在1日約6万食を配達して年商90億円を売り上げる仕出し弁当屋です。

主な特徴としては
・注文を受けてから調理配達する仕出し弁当。
・注文は昼食弁当のみ。
・メニューは日替わり弁当1種類のみ。
という少し変わった経営手法。

 

作り置きなどせずに、しかも顧客はランチだけ。メニューもたった1種類。
これでよく売上90億円規模にまで拡大できたなと思うはず。

しかし驚くのはその廃棄ロス率

大手コンビニチェーンやレストランなどは平均3%という数値に対し、玉子屋は驚異の0.1%
この数値を叩き出しているのはその無駄のない配送システムにあります。

 

注文数の予測

玉子屋の当日配達するお弁当の数は、受注締切10:00までわかりません。
そのため現場の配達員が、前日にそれぞれの判断で明日注文されるお弁当の数を予測しています
ここで大切なのはもちろん最低限の発注数に加えた現場の予測数。 これに基づいて、当日の最終発注数が決定するまで現場と工場は連携を繰り返しているのです。

 

弁当箱の回収

玉子屋の使用しているお弁当箱は他社と違って使い捨てではありません。
配達員が回収して工場で洗浄しています。
この手間には理由があり、配達員が顧客の意見を聞けること
そして回収した弁当箱の食べ残しを確認できることなのだそう。

 

配達ルートの工夫

玉子屋の配達は、まず遠いエリアから配達していきます。
各エリアの過不足分は隣エリアから調達する。これを繰り返すことによってエリアをまんべんなく行き届かせているのです。

 

 

 

積極的に「悪ガキ」を採用する理由

玉子屋は現在2代目の菅原勇一郎氏により、優良企業へと拡大していきましたが、創業当時の代表である菅原勇継氏の時から従業員はいわゆるフリーターニート、元暴走族などを積極的に採用しているそうです。

ヒトがすべてといわれる人材確保で、なぜあえて「悪ガキ」なのか?

 

「悪ガキ」は心に火が付くともの凄い力を発揮する

「会社のカネを盗んでいなくなる。そんな奴もたまにいるけど、好んで “悪ガキ”を採用している。彼らは心に火が点くと凄い力を出すんだ。」
出典:日経ベンチャー2004年4月号より

 

玉子屋創業者である菅原勇継氏は優秀な人材を見抜くポイントをこう述べています。

「悪ガキ」達の方が仕事を覚えるスピードが早い。

例えば、玉子屋では、弁当を配送する時には、一日の内に何回もルートや配達数が変更される。 こうした時に、機転を利かせてテキパキ動けるのは「悪ガキ」達なのだといいます。

 

「悪ガキ」達は顧客志向。

「悪ガキというのは、人に誉められたことがほとんどないから、お客様に誉められると本当に嬉しいんだよ。 だから、お客様のためなら上司とケンカするのも平気なんだ。」
出典:日経ベンチャー2004年4月号より

実際、玉子屋では従業員がもっとお客のために業務を改善したいと言って、上司を突き上げることが日常茶飯事で起きるのだそう。
さらに、実力主義を受け入れ、たとえ一時的に左遷されても腐らずに働く。「悪ガキ」は根性があるのです。

 

そしてユニークなのは、志望動機の評価基準。
「配達で体を鍛えられるから」「昼代が浮くから」 といったシンプルな回答を菅原氏は喜んだのだそう。
理由は「過去の経験から、単純な奴の方が伸びるから」。

 

そして合格ラインを超えた入社希望者から、菅原氏はこれまでの半生を聞き出す。
例えば、「彼女がいるかどうか」。
別に彼女がいない と不合格というわけではなく、
「若いのに1人の女性と長く付き合うタイプは、真面目な半面、融通が利かないことがある。一方で、常時、2、3人の女性と付き合うような タイプは、口が上手くて要領が良いから、営業に最適。でも、ルーズなところがある。配置や指導をする時に、それぞれ注意しなければならない。」

「他の会社ではどうしようもなかった奴が、うちでは活躍している。」

 菅原氏ならではの指導法が今日の玉子屋を支えているのですね。

 

あえて原価率を高くする

一般的に大手コンビニチェーンの平均原価率は40%前後。これを超えるともちろん赤字になりかねません。
しかし玉子屋の原価率はなんと53.5%

これは、無駄をなくすことで生まれた利益をお客様に還元し、より良い食材を使うため。

まさに商売の鉄則に基づいた美しい日本経営だと言えます。

・売り手よし
・買い手よし
・世間よし
の「三方よし」という姿勢で成功を収めてきたのです。

 

これら「玉子屋」の経営哲学は本当にどの企業でも参考になると思います。

多くのメディアに掲載され、スタンフォード大学の教授陣からも支持された理由がわかりますよね。

 

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出典:B級グルメとラーメン二郎の食べある記 : お弁当の玉子屋 仕出し弁当430円(エビフライ×2タルタルソース) 大田区中央 - livedoor Blog(ブログ)

 

 

▼「玉子屋」のおすすめ経営戦略本

起業への「情熱」か?利益に対する「戦略」か?

続々と世に輩出され話題性も去ることながら、他社には真似できない独自のビジネスモデルなど、Webサービスをいろいろとリサーチするとおもしろいです。

特にそのWebサービスの経営者の人柄やサービスリリースの背景などが興味深いので、ちょっと個人的に2社紹介したいと思います。

   

Wantedly(ウォンテッドリー)

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「人のつながりで新たな環境開拓を目的としたソーシャル・リクルーティング・サービス」

 ウォンテッドリー株式会社  代表取締役社長CEO  仲暁子

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1984年千葉県生まれ。京都大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社。退社後にFacebook Japanに初期メンバーとして参画したのち、2010年、現ウォンテッドリー株式会社を設立。「はたらく」を面白くする、シゴト充実化プラットフォームのWantedly(ウォンテッドリー)を開発し、2012年に公式リリースを果たす。人と人とがつながることにより、個人の可能性を最大限に広げるサービス作りに取り組んでいる。
出典:ビジョナリー

 

ウォンテッドリーのビジネスモデルとしては、求人掲載料を企業から徴収することで収益を出しているよう。従来の求人広告と同様と思われます。

掲載企業がスタートアップやベンチャーが多いので、価値観の共有を目的としたチーム参画者が集めやすいというのが特長ではないでしょうか。

 

ちなみに、第3期決算公告(2013年8月期)を見てみると

資本金1.21億円 資本剰余金1.15億円 利益剰余金-1988万円 当期純損失522万円
※2013.11.28官報より

まだ黒字化はしていないものの3年以内に9割が潰れていくベンチャー企業では、4年目を迎えたウォンテッドリーはまだまだ上昇傾向。

一部ではベンチャー企業なのにオフィスが大きすぎるとの声があるようですが、今後の運営拡大を見込んだ投資ともとれます。仲氏は使うところにはとことん使う派なんですかね。

おそらく現時点でウォンテッドリーが注目を集めているのは、ベンチャーキャピタリストから資本金1.21億円を調達した仲氏の牽引力とそれに付随した経歴でしょう。

 

「誰しも最初から情熱を注げるものを持っているわけではない。目の前のことに全力で取り組み、ダメなら次。」

仲氏の起業への情熱はここにあると言っても過言ではないです。

「好きなことを仕事にする」を諦めずに探し求める仲氏の姿が、まさにサービスに反映されていると感じます。

 

 

Antenna(アンテナ)

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「厳選されたメディア記事から自分好みの話題を見つけられるキュレーションマガジン」

株式会社 グライダーアソシエイツ  代表取締役社長CEO  杉本哲哉

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1967年神奈川県生まれ。早稲田大学社会科学部を卒業後、株式会社リクルートに入社。求人情報誌営業部、財務部、新規事業開発室を経て、 2000年1月、株式会社マクロミルを設立。代表取締役社長に就任。 06年、取締役ファウンダーに就任し、 07年からは早稲田大学ビジネススクール(大学院)にて招聘講師(現任)を担当。 08年4月、経済同友会幹事に就任。09年7月、代表取締役会長兼社長に就任、『再ベンチャー宣言』を掲げて代表復帰。
出典:Good find

 

アンテナのビジネスモデルとしては、企業からの広告料(パッケージ販売等)を徴収することで収益を出しています。メディア記事と記事体広告をシームレスに発信しているので広告に違和感のないインターフェイス。キュレーションマガジンでありながら、ECサービスとしてショッピングも開始しています。

 杉本氏が重要視する企業構造として、まず利益を出そうとする「コスト管理」。次に「利益が出る仕組みを作ること」。そして「ブランディング」と言います。既にブランド力のあるものはそれだけで買う人もいるのです。

 経常利益率30%という高い利益率を出すことにこだわり注力する杉本氏。

 

絶対的な判断基準は「採算性」

採算性を度外視している企業は大手1社か2社だそうです。資本も少ない中、生き残っていくためには「赤字になる商品をつくらない」という徹底的に無駄を省いた上で、営業力を伸ばす。

実に合理的で緻密。

関係ないですが、杉本氏は小学生時代はやんちゃでスーパー勉強のできる少年だったようです。笑

ちなみにアンテナの出資は同じく杉本氏が代表を務める株式会社 マイクロミルからの資金調達です。

 

 

 

まだまだリサーチすると「こんな人がつくっていたのか。」「こんなチームで運営していたのか。」と発見が多く、勉強になりおもしろいです。

その経営者が何を重要視しているのか。

きっとそれが「その人にしかできないビジネス」になるんですね。