みゃんのブログ

マイペースB型女子。偏食(肉好き)。マーケティング好き。ビジネスモデルや事業戦略の分析から実践へ。

町のお弁当屋さんは進化する!「玉子屋」の華麗なる経営戦略

町でよく見る「お弁当屋さん」。
コンビニにはない、安くてボリュームがあって、なんといっても手作りの優しさがあります。健康面も考慮されてる付け合わせ。カロリーや品質表示などしていなくても、どこか安心感があります。

「真心がこもっている」

そこが長きに渡って愛される弁当屋の魅力だと思います。 

しかしそんなお弁当屋さんですが、「これで採算が取れているのだろうか?」
「利益率が低くて儲かっているのだろうか?」
いくら美味しくても利益が出なければお弁当を作り続けることができないのが現状。

お弁当屋さんで成功を収めている企業は一体どんな戦略なのか?

 

他社には真似できない「玉子屋」の製造・配送システム

玉子屋」は現在1日約6万食を配達して年商90億円を売り上げる仕出し弁当屋です。

主な特徴としては
・注文を受けてから調理配達する仕出し弁当。
・注文は昼食弁当のみ。
・メニューは日替わり弁当1種類のみ。
という少し変わった経営手法。

 

作り置きなどせずに、しかも顧客はランチだけ。メニューもたった1種類。
これでよく売上90億円規模にまで拡大できたなと思うはず。

しかし驚くのはその廃棄ロス率

大手コンビニチェーンやレストランなどは平均3%という数値に対し、玉子屋は驚異の0.1%
この数値を叩き出しているのはその無駄のない配送システムにあります。

 

注文数の予測

玉子屋の当日配達するお弁当の数は、受注締切10:00までわかりません。
そのため現場の配達員が、前日にそれぞれの判断で明日注文されるお弁当の数を予測しています
ここで大切なのはもちろん最低限の発注数に加えた現場の予測数。 これに基づいて、当日の最終発注数が決定するまで現場と工場は連携を繰り返しているのです。

 

弁当箱の回収

玉子屋の使用しているお弁当箱は他社と違って使い捨てではありません。
配達員が回収して工場で洗浄しています。
この手間には理由があり、配達員が顧客の意見を聞けること
そして回収した弁当箱の食べ残しを確認できることなのだそう。

 

配達ルートの工夫

玉子屋の配達は、まず遠いエリアから配達していきます。
各エリアの過不足分は隣エリアから調達する。これを繰り返すことによってエリアをまんべんなく行き届かせているのです。

 

 

 

積極的に「悪ガキ」を採用する理由

玉子屋は現在2代目の菅原勇一郎氏により、優良企業へと拡大していきましたが、創業当時の代表である菅原勇継氏の時から従業員はいわゆるフリーターニート、元暴走族などを積極的に採用しているそうです。

ヒトがすべてといわれる人材確保で、なぜあえて「悪ガキ」なのか?

 

「悪ガキ」は心に火が付くともの凄い力を発揮する

「会社のカネを盗んでいなくなる。そんな奴もたまにいるけど、好んで “悪ガキ”を採用している。彼らは心に火が点くと凄い力を出すんだ。」
出典:日経ベンチャー2004年4月号より

 

玉子屋創業者である菅原勇継氏は優秀な人材を見抜くポイントをこう述べています。

「悪ガキ」達の方が仕事を覚えるスピードが早い。

例えば、玉子屋では、弁当を配送する時には、一日の内に何回もルートや配達数が変更される。 こうした時に、機転を利かせてテキパキ動けるのは「悪ガキ」達なのだといいます。

 

「悪ガキ」達は顧客志向。

「悪ガキというのは、人に誉められたことがほとんどないから、お客様に誉められると本当に嬉しいんだよ。 だから、お客様のためなら上司とケンカするのも平気なんだ。」
出典:日経ベンチャー2004年4月号より

実際、玉子屋では従業員がもっとお客のために業務を改善したいと言って、上司を突き上げることが日常茶飯事で起きるのだそう。
さらに、実力主義を受け入れ、たとえ一時的に左遷されても腐らずに働く。「悪ガキ」は根性があるのです。

 

そしてユニークなのは、志望動機の評価基準。
「配達で体を鍛えられるから」「昼代が浮くから」 といったシンプルな回答を菅原氏は喜んだのだそう。
理由は「過去の経験から、単純な奴の方が伸びるから」。

 

そして合格ラインを超えた入社希望者から、菅原氏はこれまでの半生を聞き出す。
例えば、「彼女がいるかどうか」。
別に彼女がいない と不合格というわけではなく、
「若いのに1人の女性と長く付き合うタイプは、真面目な半面、融通が利かないことがある。一方で、常時、2、3人の女性と付き合うような タイプは、口が上手くて要領が良いから、営業に最適。でも、ルーズなところがある。配置や指導をする時に、それぞれ注意しなければならない。」

「他の会社ではどうしようもなかった奴が、うちでは活躍している。」

 菅原氏ならではの指導法が今日の玉子屋を支えているのですね。

 

あえて原価率を高くする

一般的に大手コンビニチェーンの平均原価率は40%前後。これを超えるともちろん赤字になりかねません。
しかし玉子屋の原価率はなんと53.5%

これは、無駄をなくすことで生まれた利益をお客様に還元し、より良い食材を使うため。

まさに商売の鉄則に基づいた美しい日本経営だと言えます。

・売り手よし
・買い手よし
・世間よし
の「三方よし」という姿勢で成功を収めてきたのです。

 

これら「玉子屋」の経営哲学は本当にどの企業でも参考になると思います。

多くのメディアに掲載され、スタンフォード大学の教授陣からも支持された理由がわかりますよね。

 

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出典:B級グルメとラーメン二郎の食べある記 : お弁当の玉子屋 仕出し弁当430円(エビフライ×2タルタルソース) 大田区中央 - livedoor Blog(ブログ)

 

 

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